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QWRC流コミュニティスペースの運営方法

2022年1月28日(金)
10:30~12:00

近年、LGBTQのサークルや団体が増えてきたと同時に、コミュニティスペースの運営など行政から当事者団体への委託も徐々に増えてきています。LGBTQやその関係者が安全に出会い、建設的に交流する場を作るための知恵を参加者同士で出し合う機会として、オーガナイザーや行政担当者にも是非参加してもらいたい分科会です。

報告文「QWRC流コミュニティスペースの運営方法」

 この分科会では、QWRCのコジさんにQWRC流のコミュスぺ(コミュニティスペース)の運営のノウハウや運営をする上での注意点やこだわりなどについて伺った。「QWRCデー」や「QWRCナイト」若者向けの「カラフル」メンタルに悩みがあるLGBTQのための「メンヘル!」子連れで参加可能な「こどもとおとなのお茶会」53のアナログゲームを楽しめる「ボードゲームな夜」などなどのQWRC主催のコミュスぺに加え、行政から委託され、淀川区、枚方市、茨木市など自治体に出向いて一般市民向けのコミュスぺも運営している。
 そもそも人々が集まり創り出す「場」とは何か、コミュスぺはどのような流れではじまりどのような進行で進むのか、場を安全に保ちインクルーシブにするためのグランドルールの役割やファシリテーターの役割、目的に応じた場作り・雰囲気作りのコツ、ハラスメント対策、行政との交渉内容、スタッフのチームワークやバーンアウト対策、LGBTQならではの気を付けたいことや、トラブル対応などなどコミュスぺを運営する上で非常に具体的に役に立つ情報をご提供いただいた。また、コジさん個人がLGBTQコミュニティからどのようなことを学び経験してきたか、QWRCの理念であるフェミニズムについてや、ピアサポートグループの醍醐味、NPO運営の難しさなど、話題は多岐に深く展開した。
 また、長年ファシリテーターをしてきた中での工夫や対応についても紹介があり、中でも意見が違う人や対立しがちなタイプの人とどのように対話をしていくかや、ルールを守らない参加者をどのように制したり対話していくかなどは具体的で参考になるお話だった。
 質疑応答では、ピアサポートグループで行われる「言いっぱなし聞きっぱなし」方式の進め方についての質問や、交流会の運営にまつわる人的資源の確保、内容、運営ルールなどについての質問も出て参加者の関心の高さが伺えた。
 この分科会は、QWRCの地道で素晴らしい活動を、NPOが弱いこの日本において多くの人に知ってもらいたいという意図で企画された。民主主義的で活発な市民社会を形成する上で大きな役割を果たす非営利活動とそこで働く人たちがもっと正当に評価され、賃金が支払われ、仕事として誇りをもち、安定した暮らしをして活躍することが、社会全体のためになることを信じて、今後もLGBTQ系非営利団体をヒューチャーしていきたい。

 

【参加者の感想】

  • コジさんが話されました。セクマイの文化についてもっと知りたいです。

  • QWRCの活動は素晴らしいと思いました。塩安さんも言われていましたが、このように高いレベルでされている法人にはもっとお金を出してほしいです。そこに専念してもらって十分な報酬がもらえるようになってほしいと思います。

  • 塩安さんとコジさんがリラックスしてお話される中で、お二人やQWRCがどのようにこれまでの実績を作ってきたかが良く分かりました。大変ほっこりした気分になりました。ありがとうございます。信頼関係って長い時間をかけて作られるんだな・・。と思いました。

  • 自分もLGBTQの交流会を友人と企画したりしているので、お話とても参考になりました。交流会の性質に合わせて、少しずつグラウンドルールを変えているところが印象的でなるほどなあと思いました。いつかQWRCスペースに遊びに行ってみたいです。

登壇者

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コジ

NPO法人QWRC理事・共同代表

1982年生まれ
18才の時に家出して、LGBTQコミュニティデビューします。その後関西の色んな集まりやイベントに行きました。
QWRCができて1年後、22才の時にご縁があって、QWRCのスタッフになりました。2013年のQWRCのNPO法人化にともない現職になります。QWRCではコミュニティスペースの運営と事務を担当しています。

当日資料

2003年にオープンして来年で20周年を迎えるQWRCは、長年LGBTQに関わる様々な重要な取り組みをしてきています。特に、フェミニズムをしっかり踏まえた立場から発信してきたこと、医療や福祉の視点でクィアな人々の暮らしの困りごとや悩みにアプローチしてきたことは、他になかなか類を見ません。こうした取り組みは、時間をかけ着実に変化を起こしてきたし、関西のLGBTQコミュニティの発展に少なからず関与してきました。QWRC関係者の人々が持つ、セクシュアルマイノリティ支援・相談業務などの高い専門性、コミュニティオーガナイザーとしての熟達したファシリテーションスキルは、次の世代に引き継がれるべき重要な財産です。様々なセクシュアリティ・ジェンダーの人が集まる場を切り盛りしてきた試行錯誤から得られた知識と経験は、あらゆる場面で多様な他者が安全に集える場を作りたい人たちにとって、参考になるはずです。知識、スキルのみならず、QWRCならではの気を付けてきた点、こだわってきた点などについて、これまでの歴史を振り返りながらスタッフに話を聞きます。ゲイであることを公表した活動家ハーヴェイ・ミルクの生涯を描いた映画『ミルク』の脚本家、ダスティン・ランス・ブラックは言いました。「歴史観がないとコミュニティはできない。単に事実を認めるだけでなく、それを祝うことによって自分たちが属する歴史になっていく。」LGBTという言葉が流行る随分前から活動している人たちは「こんなことやって本当に報われるんだろうか、いつか欧米みたく日本も変わるんだろうか」と徒労にかられたことがあるのではないでしょうか。そんなすべての活動家を労いたい!歴史を顧みない傾向がある日本ですが、取り組みを振り返り労うこと、それは私たちの人生を祝い肯定することにつながると私は考えます。まずは、私が身近でずっと見てきた人たちから労いたいと思います。もっとQWRCがやってきたことを褒め称えたい!私たちの暮らしと歴史を紡いできたことを誇ってほしい!長年の先人たちの活動のおかげで、やっとLGBTQが認知されるようになった今、さらなる未来への飛躍のために「コミュニティ」について考えてみませんか。

QWRCこれまでの活動(ダイジェスト)


2021年

8月   社会資源開拓事業(LGBTフレンドリー指標の作成、交流会、本調査など)

7-8月 マンスリーサポーターをオンライン寄付のプラットフォームを利用し募集、目標を達成

1月  「セクシュアルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会2021」 共催 
 

2020年

交流会 コロナ渦のため、休止やオンライン開催、事務所とオンラインの併用で開催

緊急連絡先カードがQWRCのウェブサイトからダウンロード可能に

8月メールニュースを毎月発行 

7月~10月「LGBTsに関する相談 ピア・グループ スーパービジョン2020」開催

5月~6月    YouTubeに動画を公開 LGBTQあるある相談~with コロナ期の疑問に答える~

3月「第19回大阪弁護士会人権賞」受賞 

2月「第5回 LGBT支援を考えるための講座」共催

1月 「セクシュアルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会2020」共催
 

2019年

9月「LGBTに関する相談員スキルアップ講座」開催

5月   QWRC(くぉーく)パンフレット発行

3月「おおさか相談フォーラム」性的マイノリティの相談と支援にて、事例を報告 

2月 「虹のひろば」第61号に記事「セクシャルマイノリティを自由に表現するって?」

2018年11月~2019年1月「LGBT相談ピア・グループ スーパービジョン」開催 

2019年度QWRC活動計算書

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2018年

12月「ボランタリズム研究vol.3」に掲載、特集「市民セクターが挑む、社会的孤立の抑制・解消の道程」

8月「教育現場のためのLGBT講座 2018年夏」~みんながいきやすい学校を目指して~開催 

7月「LGBT相談員スキルアップ講座」開催 

5月 QWRC15周年記念パーティーを開催しました

4月    QWRCのリーフレットを改訂 

3月 「教育現場のためのLGBT講座 2018年春」~みんながいきやすい学校を目指して~開催 

2018年度QWRC活動計算書

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2017年

春と秋 教職員向けLGBT講座開催

8月「教育現場のためのLGBT講座」~みんながいきやすい学校を目指して~ 開催

2017年度QWRC活動計算書

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2016年

11月「QWRCの本棚、図書の貸し出しを開始。記念イベント ビブリオバトル」開催 

8月 本『LGBTなんでも聞いてみよう/中・高生が知りたいホントのところ』 発行

1月 LGBTと医療福祉改訂版発行

なぜ、LGBTのニーズを把握することが重要なのか、用語の解説、病気や死にすべり落ちるースティグマ

2016年度QWRC活動計算書

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2015年

寄付を募集、冊子の製作「10,000人の医療・福祉関係者にLGBTのニーズを知ってほしい!」 

 3月 冊子「QWRCの出前講座 セクシャリティの多様性」発行

12月 QWRC紹介動画をYouTubeで公開

2015年度QWRC活動計算書

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2014年

NPO法人化

10月「セクシャルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会」を共催

8月から「こどもとおとなのお茶会」開催 

7月 淀川区のLGBT支援事業のうち「相談事業」「コミュニティカフェ」の実施に協力 

2014年度の会計報告はこちら↓

財産目録

貸借対照表

活動計算書


2013年

「メンヘル!(LGBTなど多様な性を生きる人々でメンタル面に悩みがある方のためのグループ)」活動スタート!

10月 QWRC、西天満に移転

10月セクシュアルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会 共催


2012年

12月 QWRCかわら版3号発行

  「関西レインボーパレードに参加したよレポート」

10月 QWRCかわら版2号発行

  「マイノリティを展示すること 〜リバティおおさかを知っていますか?」

8月 QWRCかわら版1号発行

  「学校で生き抜く工夫、支える工夫」

 

2011年

3月~4月 企画展「性同一性障害」と多様な性の在り方~男/女ではわりきれないもの~ 講演 

3月「LGBT便利帳」~困った時にも困る前にも!~当事者向けパンフレットを制作発行

1月 「セクシャルマイノリティのヘルスケアに関する実用的ネットワーク講座」開催と

   当事者向けパンフレットの作成など

 

2010年

9月 雑誌「ビッグイシュー日本版」150号に記事掲載

「QWRC~セクシャル・マイノリティの集いの場、そして、ヘルスケアの実用的ネットワークづくりへ」

9月「世界性の健康デー2010」大阪会場「ピア活動に学ぶ現代の若者と性」報告

9月~2011年2月「LGBTと労働」連続学習会を開催

4月 セクシュアルマイノリティの労働環境を考えるコミュニティ事業
 

2009年

12月労働相談を開始 

8月 「LGBTと医療・福祉」~医療・福祉関係者の方へ LGBT固有のニーズを理解するために~冊子発行

4月  QWRCリーフレット発行

1月 セクシュアルマイノリティのヘルスケアに関する実用的ネットワーク

   講座の開催と、医療・福祉関係者向けパンフレットの作成など

2008年

9月 シンポジウムと交流会「LGBTIの視点に立ったDV支援」
 

2007年

「カラフル☆報告集」発行

「カラフル」はレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、インターセックスの

       ユース(23歳以下の若者)を応援するプロジェクト

2006年

9月 シンポジウムと交流会「セクシュアリティと人権〜LGBTの社会的課題にどう取り組むか」

4月 ユースのためのイベント「カラフル」開始

 「カラフルー性的指向や性別に悩む青少年エンパワメント事業」実施

 「緊急連絡先カード」カードとリーフレット 第3刷を発行

シンポジウム「セクシュアリティと人権」を共催
 

2005年

10月〜 連続講座「LGBTと家族」開催

9月〜  QWRC電話相談開始

他団体との交流  講師やパネリスト依頼や取材が増加

QWRCを利用する団体が活躍、自助グループをはじめ定期的利用の団体も増加
 

2004年

11月連続講座「ジェンダー、セクシュアリティの多様性とサポート」開催 

   全5回  1.多様性とは?  2.青少年における性の多様性とサポート  3.家族のサポート 

        4.性の多様性と医療  5.これから、つながりに向けて)

2003年

QWRC、大阪市北区中崎西にオープン

多様な性を生きる人々のためのリソースセンターとして、セクシュアリティやジェンダーをテーマとして活動する個人や団体の活動をサポート

参考動画

聞き手:塩安九十九

新設Cチーム企画主宰。G-fornt関西会員ということでずっとQWRCとはご近所さん的な関係。何人かのQWRCのメンバーとは20年ぐらいの付き合いで、「活動の幼馴染」のように感じている。実はQWRCの会員になったのはここ最近。QWRC愛に芽生えて上記の活動ダイジェスト版を強制的にまとめさせた昨今。

なぜ、様々なマイノリティが生きづらいのか。人権が理解されてないから。だれが人権啓発をするのか。教育も営利団体も行政も頼りにならない。勝手に自然に広まるもんじゃない。仕事として本気でやる人がもっと必要。

だいぶ端折るけど、例えばアメリカの非営利団体の数は日本の30倍。非営利団体にまわってくるお金の額の桁が違う。就職したい企業ランキングなどにも非営利団体が食い込む。日本の非営利団体の社会的地位が低すぎる。非営利団体がもっと活躍できる社会は、営利活動では作り出せない地域社会での暮らしやすさを作る。人権を理解する人が増え、ハラスメントが減ったり、ハラスメントを訴えても支援が得られる。

今から、あなたの身近の非営利団体がやっていることを労い、価値あるものとして評価しましょう、声に出して応援しましょう。そしてもっと非営利団体で働いても食べていける人を増やしましょう。あなたが非営利活動をしてきたならば、それを過小評価しないでください。あなたがやっていることは社会にとって重要です。

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