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分科会

1/12(日)10:00~11:30【分科会D】

LGBTQと同性介護 分科会報告書

登壇者 はるか、植木智、佐藤、けい

同性介護は、障害者自立生活運動の中で明文化の機会が与えられ、この領域ではかなり普遍化された。しかし、中には逆行するように異性介護の強要がある場所が存在し、女性障害者等が感じている苦痛や困難について声を上げている。

けいさんは、精神障害があるMtX(かなり女性寄り)で、家事援助等の福祉サービスを利用し、女性介助者の支援を受けている。自宅の女性ものの下着を男性に見られたくない。高齢化、重度化したとき、自分がどうなっているのか、自分が男性と女性のどちらに介護されることを望むのか。先が見えない不安がある。

 

植木さんは、脳性麻痺による身体障害があるFtMだ。プライベートな時間に介助者という他者がいることでの「自分らしく」いることができないことが大きなストレスだった。自分の性自認を確立するためにサポートが必要だが、カミングアウト(以下、カムア)していないから受けられない。性自認が確立していないから、カムアする自信がない。カムアすると差別を受けたり、介助者を失ったりする恐れがあると思った。同性介護が当たり前である当事者団体での疎外感もあった。

カムア後1年して移行を開始。男性介助者に風呂介助も頼むようになった。抵抗感は徐々に減った。今は全員男性の介助者。婦人科を受診する際は女性介助者についてもらった。セクシュアリティに応じた個別的・流動的な対応、障害当事者団体の啓発も必要だと思う。

 

佐藤さんは、FtMの介助者。事業所では面接の段階からカムアし男性として働く。体格の差から苦労することも多く、別途研修を受けることもあった。ペニスがないので、洗い方や扱い方がわからなかったり突然銭湯の外出をたのまれたりして困ったこともあった。

 

はるかさんは、ゲイの介助者。法人内の一部のみにカムアし、利用者にはゲイであることを隠して働く。同性介護を性的虐待の予防として扱う記述を外部研修の教科書で読んで戸惑う。セクシュアリティにかかわらず理性によって障害者の性を守ればいいはずだと考えたが、同性介護を求める障害者に共感もあるため葛藤がある。

 

グループワークでは、「同性介護に疑問を持った」、「大切なのは個人の信頼関係なのでは」、「当事者をどうサポートしたらいいかわからない」等の意見が出され、共有した。

​掲載日 2020年2月10日

​最終更新日 2020年2月18日

​参加者からの声

まとめ はるか

  • LGBTや障害について考えたり、話を聞く機会はありましたが、今回のテーマについて考えたことはありませんでした。介護を受ける側も介護する側も自分の思いに応じたことができるのが理想ですが、そのためには今日のような場が必要なんだと感じました。

  • いろいろな経験・視点の方の声が聞けて刺激的でした。

  • とてもよかった。時間が足りない。

  • むずかしい。考えることが色々あって、何もかもすぐには答えが出ないなぁ〜と思う。

  • トランスジェンダーの方の話を聞けることがなかったので貴重な時間でした。自分の性に疑問を持つ事や若い頃から悩まれる事があるのは聞いたことがありましたが、男性・女性どちらの性も並行に持ち、結婚・離婚を経験されている方の話はとても勉強になりました。

  • 異性・同性介護についても、自分もヘルパーをする仕事をしているので、これからトランスジェンダーの方を介助する事があった時のためにとても参考になりました。

  • 介護派遣の仕事をしているので、これからどうして行ったらいいかなーということを考えつつ参加しました。明確な答えがひとつあるわけではない。一人一人にきくこと選択できる状況、何より「言ってよい」と当事者が感じてる環境作りであるかなーと思います。同性とは何か、私にはわからない。

  • 何をもって同性なのだろうかと考えさせらた。でも、そこをもう少し深められれば良かったです。はじめに障害者介護の現場で同性介護を勝ちとってきた運動の背景を話してくれたので、そのあとのパネラーさんの話が有意義にきけた。私は関東の方で高齢者分野の仕事をしているのですが、同性介護にならない現状の方が多く、(異性介護が強要されてるということになるのですが、)性別に関係なく“選べない”という現状を変えてかないといけないのかと思った。ゆれうごく気持ちに沿いながら介護する人もされる人もよい関係が築ければよいです。

  • 同じような悩みをもつ方がお話をきかせてくれてありがたかったです。みんな思ってたんだって、はじめてそんな方と出会えました。私もカミングアウトできるようになれば、と思いました。

  • 同性介助問題をもっと長い時間深い所まで聞きたかった

  • 同性介護のメリット・デメリットを知る事ができて良かった。もっと聞きたいと思いました。

  • 同性介護の原則についての違和感を共有する場があったことが、とてもうれしかった。次は、「同性介護の原則」の構造を整理し、どこに問題点があり、どうそれを解消していくのかという具体的な作戦が立てられる場が実現できたらいいですね

  • 多くのことを学ぶことができた。今後の生活に生かしていきたいと思う。

  • 当事者ではなかったですが、大変有意義でした。

  • 植木さんの話をきけたのがよかった。同性介護の必要性を歴史的文脈から説明してもらえたのもよかった。

  • 様々なニーズや実際困ったことなどをうかがえて、自分の職場で考えるときのヒントをたくさんもらいました。個人の思い、要望を聞けて共に考えていけるように、職場ではたらきかけていきたいです。

  • 登壇者の話を聞いた後、参加者+登壇者でグループワークができたこと

  • 福祉関係の仕事をしているということ、フェミ(ニズム)系の者であるということで、(LGBTQ+)にはそれなりの理解、知識も持っていて、関わりのある方のお話も少しは聞いてきましたが、実際に4名の当事者の方のお話、現場のお話、お考え(悩みも含めて)を聞いて、たいへんしみわたるものがありました。特に、誰もがいつ障(害)者になるかもしれないということと、エイジングの問題は切実でかつ重要な問題です。わたしたちの問題・現実としてもっと深め合っていけたらと思っています。

  • 緩急がなく長く感じたものの、・様々な立場で介護に関わる人の体験・様々なセクシュアリティで関わる人体験と理論・参加者同士のトーク(参加理由も含め)これらが全部入れ込まれており満足した

  • 言いっぱなしのグループワークでしたが、もっと共有できたらよかったです。

  • 障害当事者の方たちのすごくリアルなきもちを発表していただき、自分らしく生きることのむずかしさをとても抱えておられるんだなと感じました。わかりやすく、ていねいに4人の方々がお話くださったのでこの分科会に参加できて本当によかったです。多様で豊かなおはなしでした。

  • 障害当事者団体のヘルパー派遣の事業所で働いており、利用者の中にも介助者の中にもLGBTQに相当する何かをお持ちの方がおられます。「同性介護」の原則と、歴史的背景は理解できていると思います。それと同時に昨今の「セクシャリティの多様性」との齟齬にも悩んでいました。LGBTQについては書籍やwebでいろいろな情報に触れてきましたが、今日は4人の発表者さんの話を聞いて、改めて「同じ人間」という思いを強くできましたし、「なのにしんどい思いをされてるのはおかしい。自分の身近な方たちもしんどい状況にあるなら何とか改善したい」という思いもまた強く考えました。自分の職場に持ち帰り、勉強会など開いて良い生活、社会を作っていきたいです。

掲載日 2020年2月18日​

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【D-2】大会議室3

LGBTQと同性介護

はるか、植木智、佐藤、けい

「介助者」は入浴や排泄の支援場面において、「障害児・者や難病患者(以下、障害者)」の裸や性器を直接目にしています。「介助者」は性に関する非常に多くの情報を得ることになります。それは同時に、「障害者」が性に関する非常に多くの情報を見られたり、知られたりすることも意味します。


同性介護は、「障害者の性を尊重する」目的があるとされています。また、「介助者/利用者による性的虐待やセクハラを予防する」目的があるともされています。
しかし同性介護は、異性愛でありシスジェンダーであるという価値観に基づいて構築されているため、LGBTQの介助者/利用者に対する想定がほとんどありません。
LGBTQが同性介護に対し、どう解釈・整理しているか、どのような葛藤を抱えているかはこれまで明らかにされてきませんでした。
そこでこの分科会では、出演者のトークショーと、参加者も交えたワークショップにて以下をテーマに話し合います。

1)LGBTQの介助者は、同性介護についてどう考えている?
2)LGBTQの障害者は、同性介護についてどう考えている?
            +
3)LGBTQでない介助者/利用者は同性介護におけるLGBTQの関わりをどう考えている?

同性介護。同性って誰?カミングアウトしたときどうなる?
「同性」ってホントに「安心」?
私らしい生活しても引かない?
言わないと変わらない、変わらないと言えない、というジレンマ
みんなの多様「性」を尊重する介護について考えよう。

【分科会紹介】LGBTQと同性介護

【分科会紹介】LGBTQと同性介護

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​出演者

はるか

1994年生まれ。堺でヘルパーをしている。シスジェンダーのゲイ。

​原則として同性介護を提供するヘルパー派遣事業所に2018年から勤務。学生時代に認知症高齢者グループホームでアルバイトの経験があるが、同性介護を初めて知ったのは現在の事業所に来てから。職場内では数人にかぎりカミングアウトしている。

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​出演者

​植木 智(うえき さとる)

1985年生まれ。脳性麻痺による身体障害者。セクシュアリティはFTMトランスジェンダー。2004年に介助サービスを利用しながらの一人暮らしを開始。大学で社会福祉を学び、社会福祉士の資格を取得。2009年〜2016年まで自立生活生活センターで障害当事者スタッフとして活動。また、2010年にカミングアウトを開始し、身体障害をもつトランスジェンダーとして介助者を段階的に女性から男性に移行し、現在は男性介助者の支援で生活している。

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出演者

佐藤

13年間、西宮でヘルパーをしている。セクシュアリティはFtM。

当時、性別違和感からトイレや更衣室をはじめとする様々なことで悩んでいた頃に、「差別をなくす運動をしている」ところとして、現在勤める事業所を紹介される。

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​出演者

けい

精神障害があり、日常生活の支援として家事についてヘルパーを利用して暮らしている。訪問看護も利用。セクシュアリティはMtX(かなり女性寄り)。

病院で作業療法士(OT)として勤務した経験がある。

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