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分科会

1/11(土)10:30~12:00【分科会A】

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【A-1】大会議室1

性教育を考える教員たち(太田陽子、川端多津子、北川好美、小池けい子、李幸美、吉岡有可)​塩安九十九(新設Cチーム企画)

性の多様性の授業実態と新教材~包括的にSOGIを教えるために

分科会報告

 分科会の最初15分は、当会、新設Cチーム企画が行った調査についての報告があった。大きく分け得て二つの調査を行っており、ひとつは教育委員会に対して性の多様性についての授業や教員研修の実施状況を問うもの、もうひとつは、個別の学校に性の多様性についての授業や教員研修の実施の有無を問うものだ。大阪府、大阪市の教育委員会から得た回答と、当会の独自の調査で得た結果(主に福岡と大阪)を比較しつつ紹介した。いずれの地域も性についての授業・研修の実施状況は半数程度で十分と言えなし。実施のために何が必要かを問う設問では、多くの教員が指導要綱や年次計画に組み込んで定例化する必要があるとの意見があった。(調査結果は下記のURLからPDFで閲覧が可能。https://lgbtsougi.wixsite.com/newcteam/edusurby

 調査で浮き彫りになった性についての授業の「取り組みにくさ」を考慮し、2019年夏より教員チームと協力して新たな教材制作をスタートしている。この教員チームと当会は、8年前の2011年に小学生向けDVD「いろんな性別~LGBTに聞いてみよう!~」をいっしょに制作して依頼、様々な場面で協力関係を続けて来た。現時点で、このDVDは全国に9000枚を配布してきた。その中で30分は長すぎる、内容が多い、時間が取れない、教員の基礎知識がないなど様々な現場の声が届いた。それを参考に、1、小学校で使える。2、日常的によくある話。3、短い(3分以内)4、1動画1トピック。5、シンプルな言葉とメッセージ。の5点に拘って、これまで3つの教材を作成した。教材をどのように使うかは、教員のスタイルに任せられるものだが、より気軽に取り組んでもらえるように動画と共に指導案や感想用紙もダウンロードできるようにし、短い時間でも扱いやすい長さと内容にした。(動画および指導案は下記のURLから閲覧・ダウンロードが可能。https://lgbtsougi.wixsite.com/newcteam/aruaru

 分科会では、これらの動画を使ってどのように授業をするか、3人の小学校教員に模擬授業をしてもらい会場の参加者に体験してもらった。体験後は、授業によってどのような反応を得たかを報告した。会場は94名の参加があり、その多くが教員や教育関係者であった。教材についての感想は「わかりやすかった」「メッセージが響いた」など良好な反応が得られ、質疑応答では、「動画を最初に流すと答えありきの授業になってしまわないか」「自由に生徒の意見を出す方法はどうか」という意見や「当事者生徒が居心地が悪くならないようにするにはどうしたらいいか」など、具体的で実践的な意見が相次ぎ、こうした授業についての関心の高さがうかがえた。これをきっかけに、より多くの人が性についての授業を実践し、新たな教材が生まれることを願う。

(塩安九十九)

※新教材制作会議は毎月1度行われている。参加希望者はこちらまで。
 

参加者の感想
 

●普段教育に関わっていませんが参加しました。現在の小学校での取り組みや子供たちの反応を知ることができて新鮮でした。まだまだ課題はあるとも感じましたが、時代が変わってきていることも肌で感じられてとても嬉しい気持ちになりました。活動応援しています。
●性の多様性を考えるのにわかりやすかった。性だけでなく、人権、人として尊重し合うことの大切さを教育しているのだと思った。
●気持ちと行動力を混同せず分けた方が取り組みやすいのではないかと思いました。最後の質疑での参加者の意見がとても参考になりました。この時間がもう少し多いと良かったです。3人の授業をしてくださった先生方にとても感謝です。
●授業実践もありとても良かった。Q&Aでのやり取り、まさにあのようなやり取りから、授業がブラッシュアップされていくのが心強いです。先生方の子供の力を信じよと言う言葉もすごい。
●様々な意見が出てきましたが、今の社会でLGBTQ+を含めて、多くの方々が「辛い時に誰にも相談できない」と思うことが多いのではないか。大切なのは、安心して本音を話せる環境・人間関係づくりであると気づきました。カミングアウトもそういった場ではない限りなかなかできないと思います。子供だからと言って、隠れたカリキュラムを教えない必要は全くなく、むしろオープンにすることで、子供たちが自由に話しても良いと言う気持ちになり、安心できるのだと感じます。
●性の多様性の授業づくりを現在考えているが「思い込み」と言うところから取り扱うことができるのだと新たな視点になった。ビデオが短い時間でメッセージが詰まっていて、非常に良いと思った。
●性の多様性に関する授業実践の一部を、具体的に見られて(説明していただけて)参考になりました。関西地方ではない地域からの参加でしたが、私の地域は、全くこうした実践が行われていません。県全体としても教育現場で重要性は共通認識されていないので、取り組んでいると思えません。現場の先生方にジェンダー平等や性の多様性に関する教育実践が重要であることを理解してもらうシステムや組織文化の形成をどのように展開していくと良いのか、いつも頭を抱えています。
●恋愛の話題の時、アセクシャルは置いてきぼりだったのが寂しかった。誰が誰を好きになってもいいというメッセージは素敵だけれど、誰かを好きになる経験がなくても大丈夫だよと言うメッセージを合わせて伝えて欲しい。性別思い込みあるある3で、違和感を「おや?」と表現していたのはわかりやすくて良かったが、違和感がない方「いいと思う」と表現していたのは価値判断をセットしてしまうため、だったら単純に「違和感がある・ない」と表現した方がニュートラルで良いと思った。

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【A-1】大会議室1

性教育を考える教員たち(太田陽子、川端多津子、北川好美、小池けい子、李幸美、吉岡有可)​塩安九十九(新設Cチーム企画)

性の多様性の授業実態と新教材~包括的にSOGIを教えるために

LGBTという言葉が一般化し、メディアでもよく見かけるようになった昨今。子どもたちはYoutubeで簡単に様々な知識にアクセスできるようになっている中で、子どもたちが暮らしの中で出会う事象、私たち大人の知識や認識、旧来の内容のままの学校教育、それぞれにギャップが生まれているのではないでしょうか。実際に、性の多様について授業で取り上げている学校の割合は実際どれぐらいなのか、調査を元にした報告から現状を考察します。

 

また、新設Cチーム企画では、2010年にはDVD「高校生向け人権講座:もしも友だちがLGBGTだったら?」、2011年には小学生向けDVD「いろんな性別~LGBTに聞いてみよう~」を制作し、9年間で1万枚を配布し実績を積んできました。DVDは小学3年生以上を対象にしたものだったので、今回は低学年(小学1、2年生)向けに使いやすい教材の開発に取り組んでいます。ジェンダー平等教育から一歩進んだ、LGBTQを包括した新しい性教育教材の紹介と実践の報告も行います。

教員の皆様をはじめ、早期性教育に興味のある方々のご参加をお待ちしております。自分の所ではこういう教材を使っている、こういう指導で成功しているなど、知恵と経験のシェアも歓迎です。

​下記の動画が教材です。

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