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LGBTQ+と住まい

2月12日(日)13:30~15:00(~15:40交流会)

全編ライブ

葛西リサ(くずにし りさ) 追手門学院大学地域創造学部准教授

梨谷美帆 (なしたに みほ ) 「カウンセリング・ラボSORA」代表

単独チケット1000円
フリーパス5000円

多様な生き方のための住宅市場変革とは

この分科会では、セクシュアルマイノリティにとっても、生活の大事な基盤である「住まい」について、葛西リサさんと梨谷美帆さんにお話しいただきます。

葛西リサさんからのメッセージ
 本分科会では、これまで、学級領域でほとんど扱われてこなかった、LGBTQ×住宅問題について議論します。同性入居の困難、外見と身分証の性の不一致のため、住宅市場から排除される性的少数者はたくさん存在します。しかし、そういった事実は、個人の努力や工夫によって解消され、それがゆえに見えないものとなってしまっています。このテーマに触れ、改めて、住宅市場の閉鎖性、異性婚・血縁重視の体質に驚きを禁じえませんでした。誰と住むかは、社会の側が決めるのではなく、私たちが決める。それを実現するために何が必要でしょうか。
 性と住宅問題の関係に切り込み、実情をみえる化し、そして、それをエビデンスとして、住宅市場を変革させる。これが、報告者の到達目標でもあります。是非、皆さんのお知恵をおかしください。分科会でお会いできるのを楽しみにしております。

梨谷美帆さんからのメッセージ
 この分科会では、QWRCの運営をするLGBTQ+フレンドリーシェアハウス「めぞんQ」の運営を通して見えてきたLGBTQ+と住まいの課題を共有し、具体的なデータにリアリティを添える話題を提供します。
 ライフスタイルとして、シェアハウス住まいを選択肢に入れる人は現時点ではまだ多くはないと思います。しかし、ライフスタイルがさまざまである以上、住まいの形も本来さまざまであるはずでしょう。独居、家族や恋人との同居以外の同居だけでなく、他者とのゆるやかなつながりの中で生活をするシェアハウス住まいを、ライフスタイルの多様性のひとつとして考える機会にもなればと思います。シェアハウス住まいのメリット・デメリットについてもとりあげつつ、シェアハウスがコミュニティの中で果たす役割や期待できることを検討したいです。

当日資料
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葛西リサ(くずにし りさ)
追手門学院大学地域創造学部准教授

学術博士。神戸大学大学院自然科学研究科修了。ひとり親世帯、DV被害者、セクシュアルマイノリティの住生活問題を専門とする。主な著書に、「母子世帯の居住貧困」日本経済評論社(2017)、「住まい+ケアを考える―シングルマザー向けシェアハウスの多様なカタチ―」NPO法人西山夘三記念すまい・まちづくり文庫(2018)、「13歳から考える住まいの権利」(2022)ほか。
2009年、都市住宅学会研究奨励賞、2016年住総研研究選奨、2019年都市住宅学会研究論文賞を受賞。2017年から2021年、国土交通省スマートウェルネス住宅等推進モデル事業評価委員会、専門委員、2021年より、人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業評価委員会、委員。

梨谷美帆 (なしたに みほ)
カウンセリング・ラボSORA」代表

自由を愛するカウンセリング屋さんの公認心理師 ・臨床心理士。「カウンセリング・ラボSORA」代表。QWRC 理事。QWRCでは「QWRCにじのそら相談室」やシェアハウス「めぞんQ」の運営などに携わる。多様なパートナーシップの在り方に関心があり、ポリーラウンジの幹事・ポリアモリーウィークの発起人でもある。3回目のポリアモリーウィーク2023は2023.2.20-26で開催予定(Twitter@polyweekjp)

【報告文】

 この分科会では、葛西さんからこれまで、学級領域でほとんど扱われてこなかった、LGBTQ+×住宅問題について問題提起がなされました。LGBTQ+の困難が、個人の努力や工夫によって解消され、それがゆえに見えないものとなっていること。住宅市場の異性婚・血縁重視の体質。「誰と住むかは、社会の側が決めるのではなく、私たちが決める。」というメッセージが伝えられました。

 梨谷さんからは、QWRCの運営をするLGBTQ+フレンドリーシェアハウス「めぞんQ」の運営を通して見えてきたLGBTQ+と住まいの課題が示され、独居、家族や恋人との同居以外の選択肢としてのシェアハウスが提示され、そのメリット・デメリットについて、リアルな実情報告がありました。

 Q&Aでも、参加者の皆様から、本当にたくさんの質問をいただき、時間の許す限り、お二人にお答えいただきました。また、分科会後の交流会では、スタッフと参加者が交流しまし、さらにはアフターパーティーでも話題が続き、交流があったと聞いています。

【登壇者からのメッセージ】

葛西さんからのメッセージ
 「住まいは人権」という言葉があるように、私たち人類は、住まいがなければ人間らしく生きることができません。ただし、それは、単に屋根があればよいという単純な意味ではなく、そこに住む人が快適に、そして安心安全に暮らせる環境が保障されることをも含意します。
 本分科会では、セクシュアルマイノリティが、いわれなき差別により住宅市場から排除される傾向があることを指摘しました。この問題の裏には、婚姻関係や血縁関係にあるものが一緒に暮らすことがあたりまえで、それ以外の関係にあるものがともに暮らすのは、不自然だという歪んだ社会通念があるからにほかなりません。
 不動産会社に行くことに不安を感じ、同性で住むことを隠すほかないという声は驚くほど多く、これは、まさに、正当な住まいの権利を失った不安定な状態です。当事者の自助努力による住まいの確保を強いる社会こそが異常だと私たちは理解しなくてはなりません。どの性を生きるか、どの性と生きるか、どのように住まうか。LGBTQ+の住宅問題は、堂々と望む場所に住む正当な権利が保障されてこそ解決するのだと。私は信じています。引き続き、調査研究を続けていく所存ですので、ぜひ、ご意見等よろしくお願いします。


☆葛西さんから関連資料をご共有頂きました。ぜひ、ご参照ください。

『パネル/だれと住むかは私が決める 2022 ~LGBTQ+の住宅問題を可視化する』

『セクシュアルマイノリティの住宅問題 ―「誰と住むかは私が決める」ことができる社会の実現に向けて―』



梨谷さんからのメッセージ
 シェアハウスの運営や、LGBTQ+と住まいの問題を考える中でこれまで目を向けていなか った不動産業界の仕組みや構造などを考える機会を得ました。住まいは単なるハコではな く、そこに住う人が安心・安全感を感じてその場にいることができて初めて、その人の「 居場所」となるでしょう。人間の重要な生活の要素は衣・食・住と言いますが、衣類をま とい食事を摂る場もまた「住まい」の中の空間です。住まいが人の生活をまず支える場所 であることを再認識させられました。 そこに住む人が多様である以上、また住まいのかたちも多様であるべきだと思います。 シェアという居住形態やライフスタイルが広く受け入れられる世の中は、家族や血縁だけ ではなく生活と共にする多様な関係性を尊重する世の中であろうと感じています。 (シェアハウスに興味がある方はぜひ「めぞんQ」に遊びに来てくださいね!)

【参加者の感想】

・葛西先生、梨谷さんのお話を伺い、日本の不動産業界の根深い異性愛主義、家父長制主義にやはり驚かされました。しかし、この問題を何とかしたいというお二人のお話しを伺い、希望を感じる分科会でした。

・当事者として、また当事者の近くで関わってこられた方々のご講演から、具体的にどのような困難や課題があるかを学ぶことができました。

・そもそも他人とのルームシェアという発想がない国で、この住まいの問題を解決することの困難さが改めて分かりました。これは独居老人の問題などとも共通する問題だと思います。

・あらためて住むという基本的人権が奪われていることを考えました。データで提示されると分かりやすいし、課題が見えやすくなるし、研究者が調査という形で社会に発信してくださるのは大切だと思いました。さらにQWRCの相談現場から見えてくることやめぞんQの報告などで具体的に知ることもでき、参加できて本当に良かったです。

・講師お二人のお話はとてもわかりやすいものでした。また交流会での皆さんのお話も実体験に基づいた興味深いもので頷きながらお聞きしまさした。めぞんQについてですが、オープン後、すぐに知り合いのトランスの人に勧めたのですが、写真の玄関マットがレインボー的なものだった事に引かれました。「いかにも」というのが嫌だったようです。何というか、「にじいろありきで、他の柄を選ぶという選択肢はどのくらい尊重してもらえるのかな」という感じでした。その辺の按配が難しいなぁと思いました。

・こちらの都合ですが、外出先で作業しながらのzoom参加であったため集中出来なかったのですが、賃貸時も住居購入時も女性2人の共同名義で申し込むのは難題が多い。この分科会に参加すればスムーズで簡単な方法が分かるのでは無いか?と期待したが甘かったです。今まで弁護士にも相談したりしてきたのですが、パートナーシップ制度は実際の現場では役に立たなかったです。同性婚が成立しなければ無理だと感じました。
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