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LGBTQとBL

2月11日(土・祝)13:30~16:30(この分科会のみ3時間です)

録画上映+ライブQ&A+がっつり交流会

堀あ関西大学他非常勤講師、関西大学人権問題研究室非常勤研究員

ジェームズ・ウェルカー(神奈川大学外国語学部教授)

単独チケット1000円
フリーパス5000円

BL日本史と海外BLのコントラストから見えること

「おっさんずラブ」「きのう何食べた?」から「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい(チェリまほ)」「美しい彼」まで、近年のBL(ボーイズラブ)人気はとどまるところを知らない勢いです。メイン読者はシスヘテロ女性と言われますが、そこには、女性の性別やセクシュアリティに向けられる不平等な社会のあり方がうかがえます。一方で、BLは男性同士の恋愛表象の搾取ではないかとも言われており、その指摘は重要です。最近では、BLは多方面に広がりを見せており、アジア各国ではBLドラマがブームとなり、社会的に大きな影響を与えています。

 それでは、セクマイにとってBLとは何なのでしょうか。どのように位置づけられるのでしょう。BLを語るときに決して外せないフェミニズムの視点、ジェンダーの意識を元に、BLの歴史からセクシュアルマイノリティとの関係性、課題までをいっしょに考えたいと思います。(実行委員:大森/)※この分科会はフェミニズムとジェンダー学習会との共催です。

13:30~14:30

①「BLの歴史と日本の情況―セクシュアルマイノリティとBLの関係から」堀あきこ

②「海外におけるBLや百合の広がりとトランス・ノンバイナリーのファンとそのインラインとの関係性」ジェームズ・ウェルカー
14:30~15:30

お二人に進行の大森(司会)を入れてディスカッション
前半のお話を受けて、現在の状況について
15:30~16:30

途中休憩をはさんで参加者と交流会(ブレイクアウトルームで講師二人を交えて)
 

堀あきこ

関西大学他非常勤講師、関西大学人権問題研究室非常勤研究員。

大阪府生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科博士前期課程修了。修士(人間科学)。

専門はジェンダー、セクシュアリティ、視覚文化。

著書に『欲望のコード――マンガにみるセクシュアリティの男女差』(臨川書店)、編著に『BLの教科書』(有斐閣)などがある。

ジェームズ・ウェルカー

1970年アメリカ合衆国生まれ。神奈川大学外国語学部教授。

専門は日本近現代文化史、ジェンダー・セクシュアリティ、グローバリゼーション。

著書に『BLが開く扉ー変容するアジアのセクシュアリティとジェンダー』(青土社 2019年)

【報告文】
 

 近年のBL(ボーイズラブ)人気はとどまるところを知らない。特に女性に人気が高いが、そこには、ジェンダー不平等な社会の中で自身のセクシュアリティを持て余す女性の姿が見える。一方で、BLは男性同士の恋愛の搾取ではないかと言われてもおり、その指摘は重要である。また、近年では男性のBLファンも増えており、特にアジアでは大きな社会的影響力を持つ。それでは、セクシュアルマイノリティにとってBLとは何なのだろうか。どのように位置づけられるのだろう。アジアにおける日本のBLの特異性を踏まえながら、セクマイにとってのBLをフェミニズムの視点で解き明かし、その魅力と課題を考えたい。そんな思いでこの分科会を企画した。
 

 講師には、『BLの教科書』の著者で大学教員である堀あきこさんと、『BLが開く扉 変容するアジアのセクシュアリティとジェンダー』の著者で大学教員のジェームズ・ウェルカーさんに登壇いただいた。
 

 堀あきこさんからは、BLの歴史と日本の状況をセクシュアルマイノリティとBLの関係からひも解いていただいた。BLの歴史は1970年代に日本で始まり、作り手、受け手はさまざまなジェンダー・セクシュアリティであるが、主には女性中心の文化だと言える。90年代にはフェミニズムが批判してきたポルノに対抗して、女性側が見る視点を獲得し、女性規範から逃れる媒体としてBLを位置づける言説が生まれた。しかし、それに対して主にゲイ男性から「ゲイ表象の横奪」ではないかという批判が起きる。それらの批判を真摯に受け止めつつ、今後は何をどう描くかが問われる時代になっている。


 ジェームズ・ウェルカーさんからは、海外においてシスジェンダーではないBLや百合のファンについて、自身の調査研究の発表を交えてお話しいただいた。BLの海外への広がりは、1980年代にアジアから始まり欧米へと広がった。メキシコや台湾のLGBTQコミュニティやイベントでは、同性婚を支援するなどレインボーグッズが随所に見られ、タイのBLドラマに出演する俳優がLGBTQ権利を支援する様子も紹介された。続いて「海外において日本のクィアなメディアのファンの性自認に関するアンケート調査」の結果から、興味深い内容をいくつか紹介いただいた。回答者の性自認はさまざまであるが、BL漫画を読むことで孤独を感じなくなった、自分自身のジェンダー・アイデンティティについて考えさせられた、などの回答があった。
 

 その後、質疑応答を兼ねたトークセッションを約1時間行った。堀さんの「BLはポルノなのか」についての補足で、ポルノかどうかは一概に言えない、一般的に思うポルノとBLは違うが、BLはポルノ概念を広げたと言える、すでに私たちはポルノに収まらないものを楽しんでいるのではないか、というお話があった。また、ウェルカーさんの発表の中で、海外では同人誌のイベントでレインボーがあちこちでみられたが日本ではLGBTQ活動とBLファンがつながっているようには見えないのはなぜなのかという質問があった。堀さんからは取材で聞いた話として、BLがゲイ表象を盗んでいるという自覚があって申し訳ないのにLGBTQフレンドリーなんておこがましい、という話が紹介され、また同性婚を支援する人に対するバッシングもあるというお話、ウェルカーさんからは、海外ではBLや百合はLGBTQ文化の一つと考えられており、日本ではレインボーを掲げること自体が既に政治的と捉えられてしまう、というお話があった。
 

 ブレイクアウトルームに分かれての交流会のあと、講師お二人からの感想をいただいて終了となった。お二人とも、最初は時間が長すぎると思ったが、あっという間の3時間で、とても楽しく貴重な経験になったと感想をいただいた。(報告:大森) 

 

【参加者の感想】

  • このセッションに参加したくなって、ついでに通し券も買いました。これまでのも全て拝聴しておりますが、やはり期待通りの面白さでした。

  • 知ることがいかに大事かと実感しています。また今日のような話は、知るだけでなく多くの人のセクシュアルティについて発見もあるしエンパワメントにもなると思いました。

  • メディアに表出する差別の問題は、重要な問題だと実感しました。来年度の大会で取り上げてください。どのテーマも適切な切り口、適切な講師を配置して、興味深い内容になっていると感じています。今回、BL分科会でマンガを取り上げましたが、いろんなテーマで、BLを含め、セクシャルマイノリティを扱ったマンガがあります。可能であれば、マンガをテーマにした分科会でなくても、マンガ作品等に触れることで、間口が広がるように感じます。例えば、住まい文化課で「ふたりでおかしな休日を」に触れるとか。 

  • とても面白くためになりました。以前から感じていた北米と日本とのBLの消費の違いが浮き彫りになり、その違いを考える機会が持てる、とても有意義な会でした。
     

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