はじめに
『ろう×LGBTQサポートブック ver.2』(2018、pp.15-16)から許可を得て、一部抜粋してお届けします。
主催者として
ベントに手話通訳 パソコンテイク・要約筆記などの情報保障をできる限り付ける。
イベント案内 (広報) に情報保障について表記する (例:「手話通訳あり」 「要約筆記あり」 等)。
ろう者の参加を確認したい場合は 「手話通訳や要約筆記が必要な方は、◇月◇日までに知らせて下さい」とイベント案内 (広報) で伝える。
問合せ先 (連絡先) として、 ファックス番号やメールアドレスを明記する (電話での問合せは難しい )
見てわかる情報 (壁やホワイトボードへの掲示、 イラストなど) を多用する。 紙の資料を配る。
映像スクリーンの使用など、 会場を暗くする場合、 手話が見えるようライトに配慮する。
ワークショップや会場アンケートなど、 作業として 「書く」ことが必要な際は、 「聞く (手話を見る)」と「書く」の時間を分ける。 ※手話やパソコンの画面を見ながら書く作業は難しいため。
主催者側のスタッフが、ろう者とのコミュニケーション方法や基本的な手話をおぼえる。 ※例: 「おはよう/こんにちは」などの挨拶、 「ありがとう」 「トイレ」など
大きなイベントを行う際は 「広報」 「会計」 と同様に「情報保障」の担当者を設け、できればろう者にメンバーに加わってもらうことで情報保障の質の向上をめざす。
イベント終了後に、 情報保障についてろう者からフィードバックを受け、次回に活かす。 (参加者アンケート、 連絡先への意見送付等)
手話通訳やパソコンテイク、 要約筆記など情報保障に関する予算を組んでおく (助成金の申請時など)。
小規模な団体、イベントで手話通訳が用意できない場合
紙やペン、筆談ボード、ブギーボード、スケッチブックなどを用意する
YYProbeや、UD トークなどの会話アプリを活用
携帯電話のメモアプリへの文字入力。iOSであれば拡大メモも便利です
ろう LGBTQ として
イベントに手話通訳などの情報保障をつけるように働きかける、 交渉する。 ※ろう者自身での交渉が難しい場合、 Deaf LGBTQ Center に交渉サポートを依頼することも可能です。
はじまったばかりの取り組みで不備がありそうでも、関連イベントには少しの時間でもいいので参加する。
手話を学びたい聴者に教える。
この冊子で得た情報や LGBTQ についての新しい手話を周囲に教えて、 知識の普及を手伝う。
参加者として
「ホモ」ネタや、ステレオタイプを助長する話題が出た際、同意しない態度を取る。 ※「ホモ」や「レズ」、「オカマ」といった言葉は、差別的に使われた歴史があり、当事者が自称するなどの場合を除いて、避けたほうが良いです。
本人の許可なしに他人のセクシュアリティを暴露しない。
LGBTQ に関するイベントなどで配慮すること
LGBTQ など専門的な知識や単語が出てくる催しの場合、 単に手話通訳や要約筆記を用意するだけでは、きちんとした情報保障になりません。 次のような配慮が大切です。
情報保障の申し出があった場合、 どのような保障が必要か(手話通訳か、 パソコンテイクか、要約筆記かなど)を、ろう者(利用者)に確認する。 ※参加するろう者に自分が普段慣れている通訳スタッフを同行してもらうのも一つの方法。
通訳や要約筆記の人数など、 詳細は通訳者や派遣団体と相談する (例えば、 講演会の手話通訳なら1時間につき最低2名が必要)。
事前に資料 (タイムスケジュール、 司会原稿、 パワーポイント、 配布物など) を手話通訳者に送る。 なお、 読み方の難しい人名等にはフリガナをふる。 (資料送付は最低1週間
前)
イベント開始前に、登壇者 (講師)と手話通訳者・要約筆記者との打ち合わせの時間を設け、 内容やよく使われる言葉を確認する。 その際、通訳しやすいスピードで話してもらうよう登壇者 (講師)に伝える。
パネルトークなどで話者が複数になる場合、 「他の人と声が重ならない、 発言の前に手を挙げる」 等、 「今、 誰が話しているか」 が参加ろう者に伝わるよう、 登壇者と司会者に伝
える。 ※声が重なった場合、 どちらの声を優先するか通訳者が判断することになるため、 ろう者に議論が正しく伝わらない可能性がある。
手話通訳者が気をつけること
マジョリティとして暮らしていると想像できない LGBTQの生活事情もたくさんあります。 専門用語も多いので、 事前の準備が大切です。
通訳業務における基本的な事前学習やマナーに加えて...
事前に配布された資料をもとに、 用語や表現方法を確認する。 →多様な性を表す手話表現 pp.1-4 もチェック ※ろう LGBTQ に疎外感を与えない工夫をする。
「親指 (男性)」 「小指 (女性)」 を用いる手話をどう表現するかは、講師や主催者とも相談する。
守秘義務 (知り合いのろう者が参加していても、そのことを別の場所で口外しない) を遵守する。
この冊子で得た情報や、 LGBTQ についての新しい手話を周囲に教えて、 知識の普及を手伝う。
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